research 2

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研究 2

 

ケアリ属における分類学的再検討と社会寄生・生態・形態の進化

ケアリ属Lasiusは全北区の亜寒帯から温帯を中心に分布し、アブラムシの甘露を恒常的な餌源とする分布域ではもっとも普通なアリの一群です。しかし種間の形態差が少なく、日本では16種が知られていますが、各種の同定は非常に難しい状況で、正確な同定のできる人は世界で数人しかいません。分類にはまだ問題が残されており、日本にもいくつかの未記載種があります。
また、ケアリ属には6つの亜属(ケアリ亜属Lasius、キイロケアリ亜属Cautolasius、アメイロケアリ亜属Chthonolasius、クサアリ亜属Dendrolasius、ヒメケアリ亜属Austrolasius、アメリカケアリ亜属Acanthomyops)が知られていて、このうち、ケアリ亜属とキイロケアリ亜属を除く4亜属の種は、他の亜属の種へ一時的社会寄生をすることが知られています。系統進化の材料として興味深い材料で、すでにケアリ属の亜属間の系統関係に関しては、一つの仮説を提案することができました。しかし各亜属の種間の関係はまだ面白い研究課題です。
ちなみにケアリ属は、日本では好蟻性昆虫の最も豊富なアリで、好蟻性昆虫を探すためにケアリを見つけては同定に苦労し、結局はケアリも勉強する必要に迫られ、最後には好きになってしまったというのが本当のところです。またこれは「アリの居候」という点では社会寄生性アリも好蟻性昆虫も同様で、好蟻性昆虫の研究とは無縁なものではありません。そこもケアリ属の研究に惹かれた理由の一つです。ケアリ属に関しては以下の研究を進めています。また、クサアリに関する研究は、秋野順治氏、濱口京子氏、升谷勇人氏との共同研究です。今年は卒論生に実験をしてもらいました。

1a. 好蟻性昆虫・好白蟻性昆虫の種多様性解明

2-1. 日本産ケアリ属の分類学的研究:とくにクサアリ亜属、アメイロケアリ亜属  *標本募集
2-2. クサアリ亜属の分子系統
2-3. クサアリ亜属における大顎腺、毒腺内容物の進化
写真はアメイロケアリLasius sp. cf. umbratusに一時的社会寄生をしているクロクサアリLasius sp. cf. fuji